1999年07月20日

遠くの花火を聞きながら

 きょうは毎年恒例の港まつり花火大会。オマツリ野郎を自称する僕がこうやって港まつりに行かなかったのは、仕事が忙しかった時を除いて実に何年振りのことだろう。僕は家で立花隆の本を読んでいた。仕事も無いことはなかったのだが、サボらせてもらった。

 起床したのは昼前だった。テレビをつけるとまた保険金詐欺疑惑。和歌山では例の「毒物入りカレー事件」1周年で、慰霊祭が執り行われた。犠牲になった自治会副会長と僕の父が知人関係だった事は最近知った。静かに目を閉じてみた。
 昼過ぎ、和歌山市駅前に出向く。港まつりに行く若者達が早くも集まりだしていた。普段スペルマ臭いバカギャル達もこの日だけは可憐な浴衣を纏い美しい。僕はそんな若者達を横目で見ながら本屋で本を求め、出社しないまま家に帰ったのだ。
 突然僕を襲った余裕感が孤独感を吹っ飛ばした。こんな感覚は久し振りだった。嫌いな世界史の授業をサボって一人で映画を見に行った高校時代を思い出した。時間がゆっくり流れた。
 第1章を読み終えたところで遠くから破裂音が聞こえた。なんと中之島でも港まつりの花火の音は聞こえたのだ。こんな時にしか出来ない発見。
 雑踏と喧噪の中に身を置く毎日。雑音の多い街の中じゃあ音は聞こえなかったろう。近くで頭上から降るような花火を見るのももちろんいいが、今の僕にはこんな花火の楽しみ方のほうが似合っている気がした。
 たまにはこんな日もイイ。


Posted by たおまさ at 17:22