1999年05月15日
「あ、うん」のコキュウ
いまだ、と思った。彼女は2杯目のチャイナブルーにちょっとだけ口を付け、軽い溜め息をついた。僕が声に出そうとしたその言葉は、さっき見てきた映画の有名なシーンで、若くてセクシーな俳優がヒロインに向かって口にしたあの台詞だった。
会話はいつしか膠着状態となり、このままなんの進展もなければ、彼女は席を立ってしまいそうだった。しかし、彼女とはまだ2度目であり、核心に踏み込むには今ひとつ勇気を要していた。
やっぱり、よそう。笑って、ウケてくれればまだ良いが、シラケさせてしまってはなんにもならない。でも、何か感じる。彼女の沈默が、なにかのサインのように・・・。
会話はいつしか膠着状態となり、このままなんの進展もなければ、彼女は席を立ってしまいそうだった。しかし、彼女とはまだ2度目であり、核心に踏み込むには今ひとつ勇気を要していた。
やっぱり、よそう。笑って、ウケてくれればまだ良いが、シラケさせてしまってはなんにもならない。でも、何か感じる。彼女の沈默が、なにかのサインのように・・・。
まだなの、と思った。彼は2杯目のモスコミュールを空けると、こんどはバーボンをロックでオーダーした。私がずっと口を開かないのは、言葉にすると私から求めているようになってしまうのが怖いから。
さっきまで映画の感想を言い合っていたのに、クライマックスシーンについては触れずじまい。あそこで恋人から去る決意をしたヒロインは、声にならない声で、ただ寂しそうに微笑んでいただけだったでしょ。
初めて会った時から私の心はもう決まっていた。あとは、手順を踏んでいるだけじゃない。スクリーンの彼なら、きっと・・・。
あ、彼が肩を寄せてきた。そう、いまよ。
さっきまで映画の感想を言い合っていたのに、クライマックスシーンについては触れずじまい。あそこで恋人から去る決意をしたヒロインは、声にならない声で、ただ寂しそうに微笑んでいただけだったでしょ。
初めて会った時から私の心はもう決まっていた。あとは、手順を踏んでいるだけじゃない。スクリーンの彼なら、きっと・・・。
あ、彼が肩を寄せてきた。そう、いまよ。
Posted by たおまさ at 14:34