1999年05月10日

家路

誰もが疲れた眼射しを泳がせながら急ぎ足で家路へ向かう夕暮れの街
どんな時にも輝きを失わない純粋な瞳を思い出す
あの日確かに触れた君との運命が刹那じゃないことを信じたくて
少しは強い男になったはずだと目に見えない成長を感じていたけど
思うように前に進めていない心が風に吹かれては揺れている

 僕としてはいつだって君を理解しているつもりでいた
 めったには心を許さない生き方が自分と似ているかも知れないと
 思えばただそれだけの理由で

見慣れた街明かりに何故か目が痛む
結局はよけいな鎧だけを身につけて自惚れていただけかも知れない
僕が汚れはじめたことを告げるように
それぞれの人がそれぞれの世界の中でそれぞれの傷みを抱えて生きている
そんな人々がすれ違う人波にまぎれて分け合えるものなんて何もなくて
僕のこの想いが何にも代えられないものだと気づく
ただひたすらに君を見つめ続けたい
決して忘れてしまうことのない温もりに満ちた家路へ帰るように


Posted by たおまさ at 14:29