1999年04月01日

start

 すり減った体を背負い、臆病風をふかして足踏みだけでやり過ごす。自分の手を眺めてみて虚空を見上げて呟く。目を閉じて唇を噛む。胸を張るフリだけが得意だ。腹減らして夢に溺れて、泪してニヤついて、ナイフヘソに当てて悶えて、そんなんでお茶を濁す。償い償われて、抱き寄せ逃げられて、待って待ちくたびれて、アスファルトに耳を当てる。

 哀れんで指を差されて、笑われて笑い返して、風に吹かれて漂って、世の矛盾に怯え、愛を語って嘘をついて、裏切って裏切られて、手繰り寄せて突き放し、顔をつねって目を覚ます。
 欠伸してうつむいて、怒りに打ち震えて、思い返して諦めて、どうしようもなく壁を叩く。
 冷たい雨音が心を締め付ける。


Posted by たおまさ at 13:53