1999年02月13日

猿達の抵抗

 小豆島で小猿が車にひき殺された。親猿や仲間の数匹がそれを取り囲んで道を塞いでしまった。追い払おうとすると歯をむき出して抵抗したそうだ。猿達の抵抗は抗議の座り込みともとれる。

 困り果てた人間は、地元の猟友会員らに頼み込み、空砲を撃つなどしてようやく退散してもらった。こんな事が6時のニュースで報じられていた。

 ある道路で亀がよく車にひかれる。調べてみると、近くの池に今では少なくなった日本国有の石亀が住んでいて、少し離れた草地を産卵場所にしていた。その中間に道路が開通したため、亀は道路があろうとなかろうと、何千年続けてきた習性通り、道路を渡り卵を生み、また池に戻る。日頃ノロマの代名詞のように歩んでいる亀が短い手足を動かしている様子はテレビ画面でも必死のように見えた。亀は現在、国内ではほとんど、生命力の強いアフリカ産のアカミミ亀にとって替わられているそうだ。

 猿の抗議といい、亀の必死の道路渡りといい、いずれも人間の見た感じのもので、猿や亀にそんな意識のあるはずもない。意識や高度な知能はおそらく人間だけのもので、動植物の本能を勝手に解釈しているだけのことだろう。

 しかし、仮に神が人間だけにその力を与えたものとすれば、地上に住む生き物すべてに代わって知能や知識を活用する義務も与えられたのではないか。この2つの事件を知ってそんな気がしてならない。

 道路は必要があって作ったものだろう。車も現代生活に欠かせない。今更そんな事をとやかく言うつもりはないが、せめて猿や亀の生息地くらい徐行する思いやりがあってもいいような気がする。


Posted by たおまさ at 04:37