1998年08月02日

青酸

 日本人なら誰もが知っているであろう毒物。なぜなら帝銀事件や、グリコ・森永事件などで頻繁に出てきて世を騒がせたからだ。どちらも日本犯罪史上に残る事件である。それを可能にしたのは青酸類の毒だ。

 帝銀事件で用いられた青酸カリは主にメッキするときに使う。かつてはこの管理もずさんだったため工場から持ち出しても誰も気付かなかった。無色の結晶で粉末または塊。水に溶けやすく、体内にはいると胃酸などの酸と反応、吸収された後赤血球内のヘモグロビンと強力に結びつき,頭痛、頻脈、めまい、吐き気、昏睡、痙攣などから呼吸困難、意識を失い死に至る。また、意識障害が残る可能性も。死斑は赤。

 吸収が速いため1時間以内に死亡することがほとんどだが、それを超えれば助かる可能性は高い。

 次にグリ・森事件で用いられた青酸ソーダもメッキ工場などで手にはいる。また、オレンジなどの果実の甘みを強める効果もある。

 中毒したときの症状は青酸カリと同じである。これも胃酸で分解されないと効かない。

 もう一つシアン化合物には青酸ガスと言うのがある。これは合成樹脂が燃えると発生することが多い。が、こちらは助かるケースが多い。

 この青酸ガスを一番大規模に用いたのがナチスドイツである。液化青酸ガスの「チクロンB」がユダヤ人の大量虐殺に使われた。ちなみに「チクロンB」はもともと殺虫剤である。

 ちなみにロシアの怪僧ラスプーチンは青酸カリで何度か暗殺されそうだったが死ななかった。最後は銃で撃たれたという。


Posted by たおまさ at 11:45