1998年06月13日

雨降り

雨が降ってきた
人々は恨めしそうに普段見る事のない空を見上げる
折り畳み傘を持っている人が自慢げに傘を広げ始める
人ゴミが駅に向かって動いている
「微生物みたいだ」小学校の時に覗いた顕微鏡を思い出す
ロングスカートの裾をまくりながら階段を上る女の子の後ろで
新品の靴を履いてきた事を後悔している僕

バス停とタクシー乗り場の列がみるみる長くなる
売店のビニール傘が待ちくたびれた役者のような顔で並んでいる
いつだったか流行した曲が頭の中で流れ出す
「あれは誰が歌っていたっけな」思い出せない
風景はシャワーを浴びて日頃の垢を洗い流す
人々は誰もが傘の中で自分1人の空間に身を寄せる

雨はまだまだ続きそうだ
家路を急ぐ僕
ずぶ濡れになった服と靴が重たくて
思うように走れない


Posted by たおまさ at 11:23