1997年09月13日

第二次橋本改造内閣スタート

「これで参院選は闘いやすくなった」。ロッキード事件で有罪が確定した佐藤孝行総務庁長官の入閣による橋本政権のイメージダウンに、新進党三役の一人はほくそ笑んだ。


 「一強六弱」と揶揄される政治状况下でバラバラだった野党各党だが、石油卸商・泉井純一被告による山崎拓自民党政調会長らへの献金発言(8日)では新進、民主、太陽の三党が泉井被告の証人喚問で一致、「野党共闘」へ素早い対応を見せた。

 しかし、新進党の小沢党首は「保・保連合」の旗を降ろしていない。「完全野党」を鮮明にした民主党との基本戦略の食い違いは依然大きい。野党が橋本政権に対決するためにどこまで共闘できるかは、極めて不透明だ。

 自民党三役人事と内閣改造での「保・保派の完敗」を受け、新進党内では自民党の一部との連携を目指す保・保路線への失望感が強まった。鹿野道彦元総務庁長官ら反小沢グループや旧公明、旧民社両党グループは、参院選を念頭に自民党との全面対決路線への転換を求めている。こうした状况も踏まえ、小沢党首ら執行部は月末召集の臨時国会には泉井発言などをテコに野党共闘で挑む構えだ。

 ただ、執行部の戦略は自民党と対決する野党共闘の裏で、自民党内の保・保派との連携も探る二本立てで、外と内から自民党に揺さぶりをかけることにある。明確に保・保路線の転換を求めている鹿野氏らとの路線上の溝は相変らず埋まっていない。

 「副議長の織を全うすることが、あなたのためになる」。第二次橋本改造内閣が発足した11日、小沢党首側近の平野貞夫参院議員は渡辺恒三衆院副議長にこう釘を差した。渡辺氏は鹿野氏と近く、反小沢グループ内では年末の党首選に推す声が浮上しているからだ。「小沢離れ」「保・保離れ」が止まらない中で、鈴木正孝参院議員(静岡選挙区)が18日にも離党届を提出する意向を固めるなど、小沢党首の足下も盤石とは言い難い。

 一方、民主党は先の通常国会での与党との協調路線を転換、野党色を鮮明にして全面対決路線を打ち出した。菅直人代表は「自民党との合流は100パーセントあり得ない。選挙によって政権交代を目指す」と、保・保路線への対抗意識を剥き出しにする。鳩山由紀夫代表は超党派勉強会「革命会議」を通じて、鹿野氏ら新進党内の反小沢グループとの連携強化も狙っている。

 佐藤総務庁長官の入閣や泉井問題、社民党の政権離脱の可能性など、確かに橋本政権を搖さぶる材料は多くなった。しかし、太陽党は自民党との連携強化派の議員を抱えるなど、新進、民主、太陽三党が政権交代に向けた共通の戦略を描くのは困難というのが実情だ。支持率低迷と参院選候補者難に悩む三党の幹部からは「このままでは共産党に浮動票をさらわれてしまう」との焦りの声も上がっている。



Posted by たおまさ at 04:01