1997年08月22日

第79回全国高校野球選手権大会・全国12万高校球児の夏

 強力打線対好投手。対照的なチームカラーの両校で争われた近畿勢同士の決勝は、智辯和歌山の初の全国制覇で幕を下ろした。

 智辯和歌山は力と技術を持ち合わせた強力打線と堅い守りで勝ち上がった。昨春の選抜大会凖優勝メンバーの中谷、喜多、清水ら素質に恵まれた選手を中心に、高い得点力を誇った。故障の高塚が間に合わずに絶対的なエースを欠いた投手陣は、左右の先発と控えを用意し、日本高野連が提唱する複数投手制で長丁場を勝ち抜く理想的なチーム像を示した。

 平安は低迷期を乗り越えて、復活を果たした。春の選抜大会に続く出場で凖優勝。その原動力は大会ナンバーワン左腕の川口だった。4日連投の決勝では6点を失ったものの、6試合を一人で投げ抜き、その内3試合で2桁三振を奪った。1番打者の奧井の出塁率が高く、好機を着実に点に結びつけた。

 浦添商は上間が中心の投手陣と好機に集中打を浴びせる打線で4強に進出し、沖縄勢の実力を示した。2年連続でベスト4の前橋工は、準々決勝でサヨナラ勝ちを決めた好走塁などに地道な練習の成果を見せた。

 東、西の東京と大阪代表は初戦で敗退。神奈川、埼玉、兵庫の激戦区の代表や初出場校も8強に残れなかった。大差の試合も多く、各地方大会のレベルの差が現れた。

 今年は複数の投手を持ったチームが増えたが、激しい打撃戦や終盤の相次ぐ逆転劇は投手力の弱さを露呈し、送球ミスも目立った。得点が1974年の金属バット導入後で最多の440点、本塁打は92年のラッキーゾーン撤廃後で最多の28本と”打高投低”を象徴した。新湊の境投手が打球を顎に受けて骨折したことは,安全面の再考を促した。

 2年生に好素材が揃った。投手では高知商の藤川球や福岡工大附の小椋、大分商の安達は来年が楽しみ。打者では豊田大谷の古木が1試合で2本塁打を左右に放ち、スケールの大きさを感じさせた。

 今年は開、閉会式の司会進行や選手先導役を高校生が初めて担当。高校生主体の大会色を打ち出した。

 第79回全国高校野球選手権大会。全国12万高校球児の夏はこうして幕を閉じた。


Posted by たおまさ at 03:53