1997年08月20日
智辯和歌山、沖縄・浦添商にサヨナラ,決勝進出
第79回全国高校野球選手権大会第13日,準決勝戦が行なわれ、智辯和歌山は熱戦の末沖縄代表・浦添商を破り,初の決勝進出を果たした。
0対0のまま今大会6度目の延長に入ったが、10回に1死満塁からキャプテン中谷の中犧打で決勝点を奪い、1対0でサヨナラ勝ちした。明日の決勝戦の相手は京都代表・平安。16年振り8度目の近畿勢同士の対戦となった。
智辯和歌山が0対0の延長10回、1死満塁から中谷の中犧打でサヨナラ勝ちした。この回は1死から鵜瀬の1塁内野安打と、喜多の右前打で1、3塁。清水は敬遠で歩き満塁になった。中谷は初球にスクイズバントをファウルで失敗したが、4球目を中堅へ。浦添商の佐久川が捕球し、2塁手の中継を経て本塁返球されたが、上にそれて3走の鵜瀬が生還した。智辯和歌山は走者を確実に送ったが、4安打の木戸以外は浦添商の左腕上間の変化球に合わずあと1本が出ない。その間、投手陣が踏ん張り、先発児玉は速球、カーブとも制球が良く、清水はピンチでも強気に押して後続を断った。
浦添商は4回の1、3塁、5回の1死1、2塁と中盤の先制機を逃したのが痛い。上間は鋭いスライダーを武器に強打の相手打線と堂々と渡り合ったが、援護がないのが不運だった。
中谷はその時何も考えられなかった。延長10回、1死満塁。抜けてくれ、と祈った打球は中堅手の正面。「タッチアップでいけるかな」。その思い通り3塁走者の鵜瀬が生還し、苦しい闘いがようやく決着した。主将を務める中谷は「自分達の守りの野球ができた」と込み上げてくる喜びを抑えきれなかった。
3試合で35得点を挙げた強力打線が、、たった1点が取れず苦しんだ。チャンスを潰してはピンチの連続。しかし中谷の必至のリードに先発児玉、リリーフの清水が応えて、相手に得点を許さなかった。
途中から中谷は「これで負けたら仕方ないな」と思っていた。本来智辯和歌山は投手を中心とした守りが身上。
快勝したこれまでの3試合も6失策の内容が気に入らなかった。だから、全員で守り抜くこんな試合ができることがうれしかった。
複数投手で勝ち抜いてきた智辯和歌山は、この日は2年生の児玉と4番打者の清水の投手リレーで、浦添商の強力打線をかわした。前夜、監督に先発を知らされた児玉は、予定の7回を投げきって「打たせて取る投球を心がけて落ち着いて投げた。準々決勝で焦って投げて打たれた借りを返したかった」と充実感を漂わせた。連日の好救援で決勝進出に貢献した清水も「1点もやらない気持ちで挑んだ。児玉がアップアップになりながらも良く投げてくれた」と力投の後輩を褒めていた。
1点が取りたい,1点を取らせたくない。ただ打者を押さえつけるだけの投手戦を遥かに超えた全員の攻防だった。どちらのチームも優秀な打線を持っている。疲労の見え始めた投手では防ぎきれないところだった。それがどちらも、再三1点に手の届くところまで攻め寄せては、投手の踏ん張りに阻まれる。
野手の美技もある。9回2死1、3塁で,あわやという当たりを左翼手の鵜瀬が頭上を越える飛球を向こう向きの態勢で捕球する超ファインプレー。信じ難い捕球だった。和歌山大会決勝では、打球を捕球し損ない本塁打にしてしまった2年生は「ひやっとしたけど、ずっとボールだけを見てしっかり捕った。守り勝ちです」としてやったりの表情だ。
浦添商は無失策である。力投する上間が6回、顔面付近を襲うライナーを逃げずに取った。このエースの心意気がナインにしっかりと伝わり、ひとつのプレーに気迫が満ち溢れて怯むことがなかった。
準決勝でこれほどの闘いは覚えがない。サヨナラ負けが决まったとき、浦添商の何人かの選手は守備位置でうずくまった。死力を尽くした彼らの戦意が初めて崩れた姿であり、これは切ない。彼らも決勝戦に連れていってやりたい。
明日の決勝では大会屈指の左腕川口と対決する。「自分達が勝つには今日のような試合展開しかない」と高島監督もナインも分かっている。それだけにこの苦しんで掴んだ1勝は、夏の甲子園初優勝へ向けて大きな自信となったはずだ。
智辯和歌山が0対0の延長10回、1死満塁から中谷の中犧打でサヨナラ勝ちした。この回は1死から鵜瀬の1塁内野安打と、喜多の右前打で1、3塁。清水は敬遠で歩き満塁になった。中谷は初球にスクイズバントをファウルで失敗したが、4球目を中堅へ。浦添商の佐久川が捕球し、2塁手の中継を経て本塁返球されたが、上にそれて3走の鵜瀬が生還した。智辯和歌山は走者を確実に送ったが、4安打の木戸以外は浦添商の左腕上間の変化球に合わずあと1本が出ない。その間、投手陣が踏ん張り、先発児玉は速球、カーブとも制球が良く、清水はピンチでも強気に押して後続を断った。
浦添商は4回の1、3塁、5回の1死1、2塁と中盤の先制機を逃したのが痛い。上間は鋭いスライダーを武器に強打の相手打線と堂々と渡り合ったが、援護がないのが不運だった。
中谷はその時何も考えられなかった。延長10回、1死満塁。抜けてくれ、と祈った打球は中堅手の正面。「タッチアップでいけるかな」。その思い通り3塁走者の鵜瀬が生還し、苦しい闘いがようやく決着した。主将を務める中谷は「自分達の守りの野球ができた」と込み上げてくる喜びを抑えきれなかった。
3試合で35得点を挙げた強力打線が、、たった1点が取れず苦しんだ。チャンスを潰してはピンチの連続。しかし中谷の必至のリードに先発児玉、リリーフの清水が応えて、相手に得点を許さなかった。
途中から中谷は「これで負けたら仕方ないな」と思っていた。本来智辯和歌山は投手を中心とした守りが身上。
快勝したこれまでの3試合も6失策の内容が気に入らなかった。だから、全員で守り抜くこんな試合ができることがうれしかった。
複数投手で勝ち抜いてきた智辯和歌山は、この日は2年生の児玉と4番打者の清水の投手リレーで、浦添商の強力打線をかわした。前夜、監督に先発を知らされた児玉は、予定の7回を投げきって「打たせて取る投球を心がけて落ち着いて投げた。準々決勝で焦って投げて打たれた借りを返したかった」と充実感を漂わせた。連日の好救援で決勝進出に貢献した清水も「1点もやらない気持ちで挑んだ。児玉がアップアップになりながらも良く投げてくれた」と力投の後輩を褒めていた。
1点が取りたい,1点を取らせたくない。ただ打者を押さえつけるだけの投手戦を遥かに超えた全員の攻防だった。どちらのチームも優秀な打線を持っている。疲労の見え始めた投手では防ぎきれないところだった。それがどちらも、再三1点に手の届くところまで攻め寄せては、投手の踏ん張りに阻まれる。
野手の美技もある。9回2死1、3塁で,あわやという当たりを左翼手の鵜瀬が頭上を越える飛球を向こう向きの態勢で捕球する超ファインプレー。信じ難い捕球だった。和歌山大会決勝では、打球を捕球し損ない本塁打にしてしまった2年生は「ひやっとしたけど、ずっとボールだけを見てしっかり捕った。守り勝ちです」としてやったりの表情だ。
浦添商は無失策である。力投する上間が6回、顔面付近を襲うライナーを逃げずに取った。このエースの心意気がナインにしっかりと伝わり、ひとつのプレーに気迫が満ち溢れて怯むことがなかった。
準決勝でこれほどの闘いは覚えがない。サヨナラ負けが决まったとき、浦添商の何人かの選手は守備位置でうずくまった。死力を尽くした彼らの戦意が初めて崩れた姿であり、これは切ない。彼らも決勝戦に連れていってやりたい。
明日の決勝では大会屈指の左腕川口と対決する。「自分達が勝つには今日のような試合展開しかない」と高島監督もナインも分かっている。それだけにこの苦しんで掴んだ1勝は、夏の甲子園初優勝へ向けて大きな自信となったはずだ。
Posted by たおまさ at 03:52