1997年07月06日
理不尽
世の中の出来事すべてが、一つの言葉で表現できるとは思わないけれども、ある現代社会の一断面といってもいいと思う言葉が、『 理不尽 』であろうか。
丁度、明治から文明開化を目指して発展を続けてきたわが国が、大正期に至って、ある種の爛熟を迎え、人々は、その爛熟の上に目標を失い、心は荒廃し、哲学的には、藤村操の「巌頭之感」に代表されるような厭世観、自殺願望といったものが世の中を支配した。「巌頭之観」の中の一説で、”万有の真相はただ一言にしてなすべく不可解”という有名な一説。まさにこれと同じ思いを現代人はもっているのではないか。終戦後の民主教育を突き詰めてきたところに、我々が手にしたものに対する失望、こういったものに対する不安が、今の新聞の社会面を賑わしているいくつかの事件に共通しているような気がする。
理不尽と呟けば呟く程、我々の心はその自己矛盾に苛まれている。だが我々はそこで止まることを許されないし、また、止まってはいけないし、そこを踏み越えて、じゃあ、どの安息の場へ行き着くのか。
理不尽と呟けば呟く程、我々の心はその自己矛盾に苛まれている。だが我々はそこで止まることを許されないし、また、止まってはいけないし、そこを踏み越えて、じゃあ、どの安息の場へ行き着くのか。
Posted by たおまさ at 01:02