1997年01月18日

ナホトカ

 沈没したロシア船籍タンカー「ナホトカ」から流出した重油の回収作業が続けられている福井県三国市へきょう、連れとはじめて行った。

 折からの荒天のため海が荒れ高波の危険があるという事で、回収作業は全面中止となっていた。

 海岸に立つと、ほんの目と鼻の先に赤いナホトカの腹が見えた。海岸にはペースト状になった重油が打ち寄せられており、辺りは硫化水素のにおいで充満していた。東尋坊から続くその海岸線が、和歌山に似ているな、と思った。

 波が高いため海岸に降りれず、集まった2千人を越えるボランティアは、作業で汚れた道沿いのガードレールを磨いていた。海岸には「ボランティア作業は中止となりました。三国町」という立て看板があった。

 ボランティアは本来、自主的に作業を行えばいいはず。雨が降ろうが海が荒れようが関係ない。しかし、責任は持たなければならない。たとえ事故が起きても自分の責任である。

 今回、現地に集まったボランティアを見て思ったのは、「なにか仕事はありませんか」という人があまりにも多いこと。ボランティアが町に仕事を指示させてどうする。町は仕事を指示する以上責任が伴うから、事故が発生した場合を考えて作業中止を指示したのだ。

 「なにか仕事はありませんか」この言葉を吐く事は、自主性を放棄していることに他ならない。今現在、三国町が必要としているのは、自主性を持って自分の意志で働くことのできる「ボランティア」である。野次馬は必要ない。現場が混乱するだけだ。


Posted by たおまさ at 21:13